梅雨時期必見!トライアスリートのトレッドミル活用法

概要

天気に左右されずにトレーニングができるスポーツジムは、シリアスなアスリートにとって大変心強い味方である。本投稿では、室内練習の中でもトレッドミル(ランニングマシーン)を活用したトレーニング方法である「15%メソッド」を提案し、評価を行う。

キーワード:トレッドミル、ランニングマシーン、トレーニング効率、脚力

目次
  1. 背景
  2. 提案手法
  3. 実験
  4. 考察
  5. トレッドミルトレーニングの意義
  6. まとめ
戦車

1 背景

スポーツジムでのトレーニングで代表的なものがトレッドミル(ランニングマシーン)を使用したトレーニングである。

これは、雨や雪の日でもトレーニングを行うことができ、屋外の固いコンクリート道を走るより膝への負担を軽減することができるといった利点を持つ。

しかし、屋外での実走とトレッドミル上での走りは差異があり、トレッドミルを使用して練習した成果が記録として現れないことが多い。

また、トレーニング施設では人気の機材ということもあり、施設によっては30分などの時間制限が設けられている場合がある。そのため、長距離走に最適化した練習が行いにくいといった弱点がある。

本投稿では、トレッドミルの使用時間が30分という制限時間がある場合においても、トライアスロンやマラソンに最適化したトレーニングが行える「トレッドミル15%メソッド」を提唱し、その評価を行う。

 

2 提案手法

2.1 概要

トレッドミル15%メソッドとは、トレッドミルの傾斜を15%に固定し、速度を調整して走行するものである

トレッドミルの機能を最大限使用し、実環境より厳しい条件下でトレーニングを行うことで、素早く限界まで追い込むことを目的としている。製品における加速劣化試験をモチーフとした手法である。

2.2 利点

①短時間で高強度の練習が可能になる

通常、ジムのトレッドミルでは最高速度が15 [km/h]という場合が多く、傾斜をつけない場合追い込めないことがある。本トレーニング手法では、12 [km/h]も出すと相当大変(実験者基準)なので、30分のトレーニングであっても不完全燃焼で終わることはない

②実走でも生かせる脚力がつく

傾斜なしトレッドミルで練習している場合、ただ上にジャンプするだけでトレーニングができてしまう場合がある(下図参照)。すなわち、トレッドミルの表示で15 [km/h]となっていても、跳ぶような走りをした場合は垂直方向へ無効な力が多めに配分され進行方向への力がかかっていないことがある。

本トレーニング手法では、ただ上にジャンプするにしても強く地面を蹴る必要があり、進行方向の力を大いに強化することができスピードアップが期待できる

走行時の力のイメージ図
③レース終盤のコンディションを練習開始5分でつくることができる

トライアスロンレースにおいて、ランは最終競技であり、スイム、バイクの疲れから体が重い状態で競技開始となる場合が多い。

本トレーニング手法では、15%の傾斜がトライアスロンにおけるラン競技開始の気だるさを再現することができる。また、マラソン終盤での脚が上がらなくなる状態も再現できるので、通常の練習では鍛えにくい精神力を鍛えることができる

④膝に優しい

トレッドミルトレーニングは、コンクリートの道を走行するより膝の負荷を軽減することが期待できる。

本トレーニング手法では、踏みだした脚が接地するまでの時間が従来と比較して大幅に削減でき、着地によって発生する膝への負担を抑えることが可能である。

2.3 注意点

①追い込みすぎるとケガをする

本トレーニング手法では、トレーニングできるスペースが狭くなるので、トレッドミルの速度に追いつけなくなった場合に転落するリスクが高い。

限界まで追い込みたい場合は、共同練習者をつけるマシンの安全装置を使用する(走者が落ちそうになったら自動で減速するもの)、ラスト1分に1回のみ等の回数制限を設けるなどの対策が必要となる。

②軽やかな走りが苦手になる

本トレーニング手法をやると、力強い走りができるようになるが、フォームを崩す要因にもなる。やりすぎると異様に前かがみのフォームになる危険や、テンポよく軽やかに走ることが苦手になる危険がある。

したがって、本トレーニング手法を採用する場合は、練習後にトレッドミルの傾斜を0 [%] ~2 [%]程度に戻し、フォーム良くきれいに脚を回すことだけを意識したダウンを含めて1セットとするのが望ましい

 

③きつい

本トレーニング手法は、トレッドミルの表示スピードでは想像できないくらい辛い練習法となる。調子が悪く、速度が十分に出せない場合は、傾斜を徐々につけて体を慣らす速度を自身が走行可能なまで落とす心拍数を計測し無理をしてないかモニタリングするといった対策が必要である。

3 実験

3.1 練習例 トレッドミル15%インターバル走

下記にある日の実験者の練習メニューを示す。

  1. ウオーミングアップ 6km/h 4分間
  2. 1stアタック 8km/h 3分間
  3. レスト 6km/h 2分間
  4. 2ndアタック 9km/h 3分間
  5. レスト 6km/h 2分間
  6. 3rdアタック 10km/h 3分間
  7. レスト 6km/h 2分間
  8. 4thアタック 10.5km/h 3分間
  9. レスト 6km/h 2分間
  10. 5thアタック 11km/h 2分間
  11. レスト 8km/h(傾斜を3%まで低下) 2分間
  12. Finalアタック 18km/hまで上昇 2分間(30分経過クールダウンモードに突入)
  13. 3分間クールダウン 徐々に速度低下し停止

※1 ペース、心拍ともにGARMINの735xtj+HRMで測定(トレッドミルモードで計測)

※2 上記メニューの設定ペースはトレッドミル上の速度を示す

3.2 練習例 トレッドミル15%ビルドアップ+インターバル走

  1. 30分間アップを含めてビルドアップ 6km/h~10km/h
  2. 傾斜を保ち4回のインターバル(疾走3分、レスト2分) 疾走ペース10km/h
  3. 傾斜を2%として疾走 疾走ペース18km/h
  4. クールダウン 徐々に速度低下し停止

※1 ペース、心拍ともにGARMINの735xtj+HRMで測定(トレッドミルモードで計測)

※2 上記メニューの設定ペースはトレッドミル上の速度を示す

4 考察

実際に複数回練習を実施した結果、練習中の心拍数は実験者の最大心拍数付近まで上昇した。したがって、運動強度は非常に高いことが分かった

また、練習終盤の傾斜をフラットに戻しての疾走では、楽にスピードが上昇できる印象であった。練習中に前進する筋肉を多く動員させ、鍛えることができるといえる

30分程度の練習でも滝のような汗をかくので、スポーツドリンクとタオルは必須であるといえる。また、実験者のように眼鏡をかけているアスリートは、疾走時に眼鏡が上下して不快になるので、コンタクトレンズの着用を推奨する。

 

5 トレッドミルトレーニングの意義

カスタマーレビュー

★★★★☆ 6
5つ星のうち 3.8

★★★★☆ 激しく追い込めるが、、、 (26歳男性)

本トレーニング方法を活用して1年目が経ちます。練習強度は非常に高いですが、追い込んだ後の翌日の仕事は、何だか気だるさを感じます。

★★★★★ サブスリー達成! (26歳男性)

本トレーニングを続けることで先日2回目のサブスリーを達成できました。

★☆☆☆☆ 周囲の目が気になる (26歳男性)

たまに15%メソッドを実施するのですが、ガチなトレーニングすぎてジム内で浮いている気がします。。。

★★★★★ 練習効率GOOD (26最男性)

現役サラリーマンです。仕事後のジムで活用しています。練習効率が良く、アップとダウンを合わせても40分程度で終わるのが最高です。

★★★★☆ 山の練習にもおすすめ (26歳男性)

トレイルランナーです。15%の傾斜で練習を続けることで、トレイルランも相当早くなる印象です。ただ練習中は、単調で退屈なので飽きない工夫は必要だと思います。

★★★★☆ 自身の成長を感じ取れる (26歳男性)

徐々に傾斜の中で出せるスピードが上がってきているのが実感できます。早く実戦で努力の成果を確認したいです!

6 まとめ

トレッドミルを活用した練習法を提唱し、レビューを行った。

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