概要
エベレスティング、それは狂気のライドチャレンジ。
エベレスティング、それは究極のベーストレーニング。
エベレスティング、それはクライマーの夢。人生の縮図。
これは、登坂に休日を捧げた男の物語である。
キーワード:エベレスティング、ロードバイク、8848m
目次
1 前回までのあらすじ
クライマーの偉大なるチャレンジ、エベレスティング。
来る2023年5月1日。曙の空の下、クライマーたる威信をかけて実験者は最初のペダルを踏んだ。
しかし、結果は準備不足によりチャレンジ未達成。
実験者は忙しくも充実した日々を送っていた。
再びチャレンジできる日を虎視眈々と狙いながら…
2 走行戦略Rev.1
5月1日のチャレンジ失敗以降、実験者は長期出張作業に精を出していた。週末は自宅へ帰り、妻と過ごしながらもトレーニングを欠かさず行っていた。6月4日の富士ヒルクライムでは自己ベストを出してのシルバーリング達成と、公私ともに慌ただしくも充実した日々を過ごしていた。
ほどなくして6月21日の夏至を迎えた。
実験者のエベレスティングへの情熱は収まるどころか日々強く燃え上がっていた。再びチャレンジできる日がきたらすぐに実行できるように、前回の反省を踏まえたエベレスティング実施要領Rev.1を作成していた。
実験者用エベレスティング実施要領Rev1
- 県道37号線(常陸太田側)
の349号線と交わる交差点を起点に高鈴GCまで登る。(変更なし) - 午前1時に自宅から移動を開始し、未明よりチャレンジ開始。(開始時間変更)
- 補給食、水は必要分をリュックに詰め始点付近に配置。(変更なし)
- 登坂時はボトル、補給食を搭載し走行中必要に応じ補給する。(補給方法変更)
- 補給食、水がなくなり次第始点で休憩。
この時GPSウォッチも充電する。(休憩方法変更) - 終了が夜にもつれる可能性が高いため、
夜間装備をマストとする(ヘッドライト×2、テールライト×2、 自転車本体の反射板添付)。(変更なし) - 防寒着、雨具を持参する。(新規)
- 夏季実施の際は、体温上昇を防ぐための被る用の水と飲料用の水を計6 [L]用意する。(新規)
- 夏季実施の際は、くもりでなるべく気温の低い日を選ぶ。(新規)
- 登坂、下り、休憩の1サイクルの目安を40 [分]とする。(新規)
月日は少し流れ、2023年7月初旬。連日の夏日のなか、週間天気予報を見ていた実験者に一つの情報が飛び込む。
『7月8日(土) 曇り時々雨』
実験者はどうする?
▶ リトライする
▷ あきらめる
かくして実験者の長くエキサイティングな一日が始まった。
3 リトライ開始
7月8日(土)午前0時、起床。実験者は、お茶漬けを食べ、荷物の最終準備をする。
午前1時15分、自宅より始点へ移動開始。当然日は登っていないので、前後4つのライトを煌々と輝かせ宵闇の日立市を駆け抜ける。
出発時の天候はくもり。雨が降らないように祈りながら始点へと急いだ。
道中コンビニに寄り2 [L]ペットボトルの水を3本購入しリュックに詰めた。
午前2時00分、始点へ到着。到着後リュックの配置、バイクへのボトルと補給食の搭載、安全装備の確認。抜かりなく完了。
午前2時15分、走行開始。前回より3時間近くスタートが早い。
午前4時30分頃、夜明けの時刻。5時過ぎには数名のロードバイク乗りとすれ違う。以降は天気が悪かったため誰とも会わなかった。
午前6時頃、本格的に雨が降ってきた。ここまでは無視できる程度の雨のぱらつきであったが、中止を検討するレベルの雨が降った。堪らず始点近くで雨宿りし雨雲レーダーを確認した。酷い雨は一時的で、以降は小雨または曇りとのことでこのまま続行を決断。ピークが過ぎるのを待って、以降は富士ヒルクライムでもらったポンチョを着用して走行した。
午前9時45分。チャレンジ開始から7時間30分経過し12回の登坂完了(獲得標高4000m超)。
前回のトレーニングによる自力アップと、厳密なペース管理が効いているのか明らかに走行が楽であった。
4000mの壁を感じることなく、誰もいない坂を一人淡々と登り続ける…
4 よみがえる数々のおもひで
午後3時15分。チャレンジ開始から13時間経過し20回の登坂完了(獲得標高7000m弱)。
この時点で前回超えを果たす。残り6回の登坂。ここからが身体的、精神的に非常につらかった。
ネガティブマインドになるのを避けるため、実験者はアンドロメダと戦いの歴史を回想したー
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2013年の納車後一週間で立ちごけ。雨の中の初トライアスロンなど迷惑をかけた。一方で九州縦断を3回達成、茨城鹿児島間を7日で走破、ツールド沖縄210km完走、五島、宮古島、佐渡トライアスロン完走。参加したレースで年代別入賞することもあった。アンドロメダとともに素晴らしい戦績をあげることができた。
さらには結婚式披露宴にはアンドロメダで入場し、会場に衝撃を与えた。
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5 Everesting For Shining Andromeda
アンドロメダとの激闘の日々。実験者は継続的にトレーニングする性分ではなく、その場しのぎの戦略と根性で様々なことを成し遂げてきた。しかし、一点心残りがあった。
アイアンマン世界選手権。いつの日か出たいこの大会。ここ数年は仕事や他のイベントが重なり、目標から遠のいている。
また、購入から間もなく10年経過するフレームの安全性を考慮し、7月末には新しいロードバイクが納車される。
アンドロメダをアイアンマン世界選手権へ連れていけない。
彼の果たす最後の偉業としてエベレスティングを達成する。これは、実験者からのせめてもの恩返しなのである。
午後7時前。チャレンジ開始から16時間35分経過。
この日最後となる26回目の魂のクライムを、高鈴GCの坂へ叩き込むのであった。
6 エピローグ
2023年7月8日(土)にエベレスティングを達成した。
stravaにアップした記録は、公式団体にも認められた。
公式サイトの達成者一覧の中に実験者の名もあり、非常に誇らしい限りである。
さて、エベレスティング達成者と認められると公式サイトより記念品の購入が可能となる。
実験者は記念にジャージを購入した。ジャージを眺めては、激闘の日々を懐古するのであった。
(備考1)持参補給食
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- エネ餅×6 (150kcal×6=900kcal)
- マグオン×6 (120kcal×6=720kcal)
- アミノザウルス×4 (120kcal×4=480kcal)
- アミノバイタル×6 (110kcal×6=660kcal)
- 井村屋スポーツ羊羹×6 (110kcal×6=660kcal)
- アクエリアスの粉×1 (190kcal)
- 水6L (0kcal)
マグオン、アミノザウルス、羊羹は各1個余り。水は4L消費。
(備考2)帰路と反省
エベレスティングで完全燃焼したため、帰宅は大変つらかった。
自宅から始点まで15km以上距離があったが、始点まで車で移動した方が楽であり、時間も短縮できるのでエベレスティング達成確率が上がると感じた。
また、選定するコースの中に公衆トイレが配置されていると良い。実験者が今回実施したコースには、公衆トイレがなかったので苦労したとだけ述べておく。
(備考3)機材一覧
(1) ロードバイク:GIANT TCR SL2(愛称 シャイニングアンドロメダ)
(2) ホイール:ROVAL CLX40
(3) 時計兼サイコン:GARMIN Foreathlete945
(4) パワーメータ:4iiii (左クランクのみ、105)
(5) 心拍計:GARMIN HRM-pro
(6) ヘルメット:OGK Kabuto Flair
(7) シューズ:Shimano S-PHYRE RC9
(8) 前照灯:CATEYE VOLT1700
(9) 尾灯1:GARMIN Varia RTL515
(10) 尾灯2:CATEYE RAPID X3
終わり
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