概要
エベレスティング、それは狂気のライドチャレンジ。
エベレスティング、それは究極のベーストレーニング。
エベレスティング、それはクライマーの夢。人生の縮図。
これは、登坂に休日を捧げた男の物語である。
キーワード:エベレスティング、ロードバイク、8848m
目次
1 前回までのあらすじ
クライマーの偉大なるチャレンジ、エベレスティング。
持ちうる力、テクニック、タクティクス。すべてをこの挑戦に捧げる。
来る2023年5月1日。曙の空の下、クライマーたる威信をかけて実験者は最初のペダルを踏む。
実験者用エベレスティング実施要領
- 県道37号線(常陸太田側)
の349号線と交わる交差点を起点に高鈴GCまで登る。 - 朝4時に自宅から移動を開始し、日の出とともにチャレンジ開始。
- 補給食、水は必要分をリュックに詰め始点付近に配置。
- 1~2回登るごとに始点で休憩。
この時GPSウォッチも充電する。 - 登坂時は軽量化のためボトルを持たない。
- 終了が夜にもつれる可能性が高いため、
夜間装備をマストとする(ヘッドライト×2、テールライト×2、 自転車本体の反射板添付)。
2 走行開始
5月1日の午前3時30分。実験者はエベレスティングチャレンジの会場となる「高鈴GCの坂」へ向かった。
出発してしばらくしたところで、装着しているGPSウォッチ(Garmin Foreathlete945)の充電器を忘れていることに気づき、自宅へ引き返した。
始点の最寄りのコンビニで2 [L]のミネラルウォーターを2本購入し、始点に到着した。始点に補給食、水が入ったリュックサックを配置、施錠し、いよいよチャレンジ開始となる。
開始時刻は午前5時をまわり、ちょうど日の出の時間であった。
3 異変と実験者の選択
実験者は当日のペース配分、タイムスケジュールについて特に考えていなかった。
歴代最高強度の練習となることは覚悟していたが、ペースは出たとこ勝負で考えていた。
12回目の登頂(獲得標高4000 [m]越え)で7時間20分経過。そのときの時刻は12時30分。
当日は最高気温20 [℃]もいかない涼しい日であったが、4000mも登ると疲労は確実に蓄積してくる。
また、走行中ネガティブなことを多く考えることにより、気持ちが滅入ってくる。
「このペースだと、26回の登頂完了は21時を過ぎるな」
「エネ餅も食べ始めは美味かったけど飽きてきたな」
「いい加減このコース見飽きた」
「私は、何をやっているのだろう?」
上記のようなネガティブな思いをいかにポジティブな思いに変換しテンションを保つかが非常に重要となる。
エベレスティングにおいて、心身ともにマイナスの要因が重なり、ペースの低下を招くことを4000mの壁と定義する。
実験者は本ライドにおいて4000mの壁により、13本目のクライムからペースが落ちた。
とはいえ、これはチャレンジ失敗に結び付くほどの致命的な要因ではない。
異変は19回目の登頂時、チャレンジ開始から12時間30分経過、時刻は17時30分の頃。
急に雲行きが怪しくなり始めた。
20回目の登頂時には、さらに天気は悪くなって小雨が降り、気温が下がり始めた。
時刻は18時10分。残りの登坂回数を考えると、終了は22時を過ぎるのは必至。
雨具及び防寒着を十分に持ってきていなかった実験者は選択を迫られる。
実験者はどうする?
▷ 強行する
▷ 中止する
(強行派の意見)
果たして今日を逃すといつエベレスティングを達成できるだろうか?
日中の気温が低く、日照時間が長いこの日はまたとないチャンスである。
幸い前照灯、尾灯は強力なものを持参しており、ウィンドブレーカーは蛍光色。
この状況下でも走行可能と判断する。
下りのときに体温低下とスリップに気をつけて走行すれば問題はない。
(中止派の意見)
強行には、低体温症や濡れた路面でのスリップによる転倒リスクが伴う。
雨による視認性の悪さから交通災害リスクも上がる。
また、実験者には妻がおり、悪環境下での走行は余計な心配をかける。
大きな事故につながった場合、仕事がしばらくできなくなり会社にも迷惑をかける。
実験者はどうする?
▷ 強行する
▶ 中止する
4 結果
20回の登坂完了
(下りが20回目の下りを行っていないので、エベレスティングチャレンジとしては19往復)
チャレンジ達成ならず。
5 次回予告
準備不足によりチャレンジ未達成となった5月1日のライド。
実験者は忙しくも充実した日々を送っていた。
そんな中、早くも訪れた再チャレンジのチャンス。
走行戦略を見直し、チャレンジ達成のために再び走り出す。
次回 「魂のライド」
「そうだ!エベレスティングをしよう 破」への2件のフィードバック