概要
スイム、バイク、ランを連続して行うトライアスロンは、その過酷さから鉄人レースとも呼ばれる。様々なレギュレーションの大会の中でも、スイム3.8km、バイク180km、ラン42.2km以上の大会は「アイアンマンディスタンス」と呼ばれる。本投稿では、日本国内で最長の距離を持つ「佐渡トライアスロン」に参加した結果を報告する。
キーワード:トライアスロン、ストロングマン、佐渡トライアスロン
目次
1 背景
佐渡トライアスロンは、新潟県の佐渡市で開催されるアイアンマンディスタンスのトライアスロン大会である。
本投稿ではA部門について概要を説明する。
スイムは日本海を使用し3.8 [km]泳ぐ。2019年大会は、砂浜よりスタートし沖と浜を2往復した。バイクは190 [km]で1500 [m]Upでありアイアンマンディスタンスとしては長く、登坂区間も多い(大きな坂が4箇所、小刻みな坂が多数)。ランは比較的フラットなコースで構成された42.2 [km]である。難コースのバイクパートを上手にやり過ごしてランにつなげることが本レースを攻略する上で重要である。
佐渡トライアスロン公式HP : http://www.scsf.jp/triathlon/index.html
2 実験結果
2019年大会に出場した実験者は、スイムパートは分相応なペースで泳ぎ切り、続くバイクパートでは素晴らしいペースで走り切った。ランパートでは中盤にかけての大幅な失速から地獄のような時間を過ごし、結果も散々なものであった。
2.1 レース前の大会出場状況
佐渡トライアスロン出場前2か月の運動の実施状況は下記であった。
2019年7月25日 富士登山競走前にスバルラインをロードバイクで試走
:1時間25分程度で登り切った
2019年7月26日 富士登山競走(5合目部門)出場
:1時間45分で完走
2019年7月28日 榛名湖トライアスロン出場
:2時間30分で完走
2019年8月25日 乗鞍ヒルクライム出場
:59分程で完走
2019年9月1日 佐渡トライアスロン出場
上記の通り、佐渡トライアスロン前に数個大会に出ており、1週間前には乗鞍ヒルクライムに出場している。
2.2 目標タイムと実際のタイム
目標タイムは12時間切り。結果は下記となった。
合計タイム | 順位 | Sタイム | S順位 | Bタイム | B順位 | Rタイム | R順位 |
14:49:46 | 487 | 1:37:37 | 397 | 6:25:08 | 76 | 6:43:33 | 735 |
各競技に設定した目標ペースとの差異は下記となった。
種目 | 目標ペース | 競技終了予想 | 結果(差異) |
スイム | 2分5秒/100m | 1:26:40 | 1:37:37 (+0:10:57) |
バイク | 30km/h | 6:20:00 | 6:25:08 (+0:05:08) |
ラン | 6分/km | 4:13:12 | 6:43:33 (+2:30:21) |
各競技についてみていくと、スイムは目標ペースを大きく外さず競技できた。当日は、やや風の強いコンディションで波が高く、小さい蛇行を繰り返した結果、約4500m泳いだようである(GarminのGPSによる。実際の軌道とは違う可能性が高い)。平均ペースとしては、100m当たり2分9秒でスイムが得意ではない実験者としては及第点であった。
バイク競技は、ほぼ目標ペース通りであった。反省点として各所に設定された激坂区間で頑張りすぎたことが挙げられる。約60km地点のいわゆるZ坂では、バイク競技中で最も高い167bpmをマークした。後半では、強い向かい風の瞬間がありましたが、DHポジションを多く取りやり過ごした。バイク競技終了までの5km区間は、速度を25km/h程度に下げて走行し、バイク競技で凝り固まった筋肉を伸ばしてランにつなげる努力をした。
ラン競技は、バイク競技終盤での負荷緩め作戦が功を奏し、スタートの感触は良かった。このまま潰れずに持てば、良い順位でゴールできるという期待すらあった。しかし、5km地点を越えたあたりから筋肉の疲労と練習不足、胃のダメージによってペースは落ち、10km地点以降は、1km10分程度のペースとなった。思い返せばレース前2か月の練習で一回に10km以上走ったことがなく、ランをさぼっていた結果が如実に表れた。
無事完走(完歩)を果たしたが、アストロマンの中ではビリから2番目のランラップとなった。やはりウォーキングはランより脂肪が燃えるようで、完走後宿での体重計測で競技前から7kg減を確認したときは驚愕した。
2.3 レース後発生した問題
激闘後、実験者を苦しめたのが「両脚のむくみ」である。
約1か月程、足先にかけてむくみが発生し、これまで余裕で履けていた靴が靴紐を緩めなければ履けない、バイク用ビンディングシューズの中敷きを外さないと履けない、一歩踏み出すごとに鈍い痛みが出るといった症状が出た。
3 「むくみ」要因の洗い出し
むくみの要因について、血行不良、水分不足、筋力の低下、肌のハリ不足、体質の観点からその要因をリストアップする。
1)血行不良によるもの
・バイクシューズのサイズ不適合。レースの前からシューズのサイズが小さいと感じており、足先を過度に圧迫した状態が6時間超続いた。
・ランシューズの種類不適合。シューズの素材が伸び縮みするものでなかった。きついバイクシューズでバイク競技を終え疲労した後に、さらにランシューズで圧迫した状態が6時間超続いた。実験者が当時履いていた靴。(サロモン ウォーターシューズ)
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・柔軟性不足。実験者はそもそも柔軟性に不備があり(前屈で手先が足先につかない程度)、激しい運動後に血行不良を起こしやすい状態であった。
・運動後のケアがなかった。レース後はバイクの回収、当日中の宿舎への移動、翌日の移動で満足にケアする時間がとれなかった。
・同じ姿勢が続いた。ラン(ウォーキング)の単調な動きが6時間超続いた。
2)競技による水分不足によるもの
・レース中の補給が悪い。ランニング中に胃がものを受け付けずに水分が不足した状態が続いた。中盤以降でスイカならいけることが判明し、急に大量のスイカを食べた。
3)一過性の筋力の低下
・トレーニング量が不足していた。富士登山競走対策で短時間高強度の運動は多く取り入れていたが、長時間低強度の運動が不足していた。トレーニング量が不足した質の悪い筋肉を、当日酷使したため、一時的に筋肉が衰弱した。
4)肌のハリ不足
―該当なし―
5)体質によるもの
―該当なし―
4 要因の対策
1)血行不良によるもの
シューズは適切なサイズのものを選び、当日はアジャスターを締め付け過ぎないように注意する。ランシューズは外皮に伸縮性があるものとする。
また、日々のトレーニングにストレッチ、ヨガ等を取り入れ、柔軟性を可能な限り高めておくことが有効である。
また、競技後ストレッチによるケアも重要である。
2)競技による水分不足によるもの
競技中の水分不足はあってはならない。トライアスロンという不確定要素の強い競技では、後半に胃が弱って満足に補給ができないことが考えられる。
そこで、水分の補給方法を複数用意しておくことが有効である。経口補水液、ゼリー系飲料、スポーツドリンク、ただの水、果実など複数の選択肢を用意し、状況に応じて摂取すると良い。
また、そのためには本番と同じような状況での練習を行い、考えた摂取方法が妥当か検証することが重要である(なかなか難しいが)。
3)一過性の筋力の低下
トライアスロンの各競技をバランスよくトレーニングする。また、社会人となると時間的制約が強いことから短時間高強度のトレーニングが多くなるが、長時間低強度の運動も取り組むことが重要である。
また、アイアンマンレースの2週間前は他の大会を入れない等のスケジュール管理が大事である。
5 今後のアクション
手痛い敗北を味わった実験者であったが、靴を新調する以外は未アクションのままである。
コロナで大会が中止となっており、情熱が失われつつあるが、再起しカッコイイ姿でゴールする姿を妻に見せたいものである。
↓今回の走行ログ
6 まとめ
佐渡トライアスロンについてレビューを行った。次回は入賞したい。