概要
近年、地方では人口減少、高齢化が急速に進んでおり実験者の地元南さつま市も例外ではない。南さつま市で最も繁栄している加世田市街においてその象徴である夢ピカ通りは、寂れた空気が漂うシャッター街となりつつある。本投稿では、南さつま市の「日新公いろはかるた」を力の限り発信し、南さつまの魅力を伝えていきたい。
キーワード:日新公、加世田、南さつま、いろはかるた、島津忠良
加世田の長屋校区
1 日新公
薩摩の大名である島津家の一人である。戦国時代に加世田で政権を握り善政を行った。神教、儒教、仏教を極めており、後述のいろは歌も彼が作った。島津忠良 – Wikipedia
日新公を祭ってある竹田神社
2 いろは歌
日新公が創作したもので代々受け継がれ、後に薩摩武士の考えの基盤となる。全47首存在している。
- 作者: 高城書房編集部
- 出版社/メーカー: 高城書房
- 発売日: 2000/06
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3 日新公いろは歌の位置づけ
いろは歌は、南さつま市において、エリートからヤンキーまでほとんど誰もが知っているものである。少年少女は、小学校時代にそらで言えるようになるまで叩きこまれる。実験者が幼かった当時は、市の武道館で大規模なかるた大会が催され地味に盛り上がっていた。
このように、南さつまの魂といえる歌なだけに、卒業式入学式の校長先生の贈る言葉などではいろは歌の一部がよく文中に織り込まれる。
ちなみに、もっともよく用いられるのは「い」と「へ」である。
歌を全体的にみると、ほとんどが深みのある句ばかりであるが、なかにはあまり深くない駄作と思われるものも存在する。また、作られたのが戦国時代というのもあって、明らかに現代社会にミスマッチなものも存在する。
4 かるた
いろは歌はかるたとなっており、遊びながらいろは歌を学ぶことが可能である。
誰が描いたのかよくわからないコミカルなイラストもまた魅力の一つである。
以下に一覧を記載する。
また、括弧のなかに意味を書いているが、だいぶ適当に書いたので正解かどうかは保証できない。本気で学びたい人は島津日新公いろは歌集を購入して勉強するとよい。
字 | 絵柄 | 歌(訳) |
---|---|---|
い | いにしえの道を聞きても唱えても わが行いにせずばかひなし (すごい金言も実行しないと意味無いよ) | |
ろ | 楼の上もはにふの小屋も住む人の 心にこそはたかきいやしき (住居はボロでもいいから心は清く正しく行こうぜ) | |
は | はかなくも明日の命をたのむかな 今日も今日もと学びをばせで (毎日勉強しなさい) | |
に | 似たるこそ友としよければ交らば われにます人おとなしき人 (友達は選べ。自分より優秀な人とかGOOD) | |
ほ | ほとけ神他にましまざず人よりも 心に恥じよ天地よく知る (悪いことをしたら自分の心に恥じよ) | |
へ | 下手ぞとて我とゆるすな稽古だに つもらばちりも山とことの葉 (下手でも練習続ければきっとうまくなるよ) | |
と | 科ありて人を斬るとも軽くすな いかす刀もただ一つなり (罪人は裁かないといけないけど死刑を軽々しくするもんじゃないよ) | |
ち | 知恵能は身につきぬれど荷にならず 人はおもんじはずるものなり (知恵、芸能のスキルはあっても困らない) | |
り | 理も法も立たぬ世ぞとてひやすき 心の駒の行くにまかすな (周りが荒れに荒れていても、好き放題生きてよいものではない) | |
ぬ | ぬす人はよそより入ると思ふかや 耳目の門に戸ざしよくせよ (心の盗人に注意) | |
る | 流通すと貴人や君が物語り はじめて聞ける顔もちぞよき (それもう知ってるよ〜って話も初めて聞いた振りしたらいいよ) | |
を | 小車のわが悪業にひかれてや つとむる道をうしと見るらん (自分の仕事はつべこべ言わずちゃんとやるがよい) | |
わ | 私を捨てて君にし向はねば うらみも起り述懐もあり (将軍には一身を捧げて仕えよ) | |
か | 学文はあしたの潮のひるまにも なみのよるこそなほ静かなれ (勉強するなら夜がGOOD) | |
よ | 善きあしき人の上にて身を磨け 友はかがみとなるものぞかし (友人を見て悪いところは反省し、いいところは見習おう) | |
た | 種となる心の水にまかせずば 道より外に名も流れまじ (私利私欲にかられてふるまっていれば、悪い評判もたつから注意) | |
れ | 礼するは人にするかは人をまた さぐるは人をさぐるものかは (礼を人に尽くすことは、人に尽くすことの他に自分を正しくして己を敬うことでもある) | |
そ | そしるにも二つあるべし大方は 主人のためになるものと知れ (部下の悪口には2つある。組織を思ってのものか利己的なものかだ) | |
つ | つらしとて恨みかえすな我れ人に 報い報いてはてしなき世ぞ (たとえつらくても恨み返さない。恨みの連鎖はあなたが断ちきるのです!!) | |
ね | ねがわずば隔てもあらじいつはりの 世にまことある伊勢の神垣 (伊勢の皇太神宮は偽りのない神だから信じていいよ) | |
な | 名を今に残しおきける人も人 心も心何かおとらん (ジョブズも我々と同じ人間。心も同じ。無理とか言わず奮起して頑張ることが大事) | |
ら | 楽も苦も時すぎぬれば跡もなし 世に残る名をただ思ふべし(楽しいとか苦しいとかそんなのどうでもよくて世の中のためになることやろうや) | |
む | 昔より道ならずしておごる身の 天のせめにしあはざるはなし (おごらず神を敬って生きていくといいよ) | |
う | 憂かりける今の身こそは先の世と おもへばいまぞ後の世ならん (因果応報ってやつを信じてみない?現世で頑張って来世でFEVERしようぜ) | |
ゐ | 亥にふして寅には起くとゆふ霧の 身をいたずらにあらせじがため (午後10時就寝。午前4時起床) | |
の | のがるまじ所をかねて思ひきれ 時に到りて涼しかるべし (武士になったからにはいつ死んでもいいようにしとけよ) | |
お | 思ほへず違ふものなり身の上の 欲をはなれて義を守れひと (私欲を捨てて正義のために生きてみようぞ) | |
く | 苦しくとすぐ道をいけ九曲折の 末は鞍馬のさかさまの世ぞ (どんなに苦しくても悪さしちゃいけない) | |
や | やわらぐと怒るをいわば弓と筆 鳥と二つのつばさとを知れ (組織は厳しすぎてもだめ、ぬるすぎてもだめ) | |
ま | 万能も一心とあり事ふるに 身ばし頼むな思案堪忍 (有能な人でも心がダメならNo thank you) | |
け | 賢不肖もちい捨つると言う人も 必ずならば殊勝なるべし (賢者が政治して、それを聞く民も賢かったらそりゃ何事もうまくいきますよ) | |
ふ | 無勢とて敵をあなどることなかれ 多勢を見ても恐るべからず (敵の強さは数で決まるものじゃないから注意) | |
こ | 心こそ軍する身の命なれ そろゆれば生き揃わねば死す (一致団結すれば、戦は勝ちます。そうでなければ負けます) | |
え | 回向には我と人とを隔つなよ 看経はよししてもせずとも (死者は敵味方関係なく弔いましょう) | |
て | 敵となる人こそはわが師匠ぞと おもひかえして身をもたしなめ (敵も先生みたいなもん) | |
あ | あきらけき目も呉竹のこの世より 迷わばいかに後のやみぢは (死後の世界で迷いたくなくば、仏の道を極めるのだ!) | |
さ | 酒も水ながれも酒となるぞかし ただ情あれ君がことの葉 (上司は思いやり深く情け深く接しなさい) | |
き | 聞くことも又見ることも心がら 皆まよいなりみな悟りなり (優れたものを素直に受け入れる心構え大事) | |
ゆ | 弓を得て失ふことも大将の 心一つの手をばはなれず (結局戦ってのは大将の心配りが大事) | |
め | めぐりては我身にこそは事へけれ 先祖のまつり忠孝の道 (先祖は大事にしなさい) | |
み | 道にただ身をば捨てむと思ひとれ かならず天のたすけあるべし (正しい道を猛進せよ。必ず天が助けてくれるさ) | |
し | ??? | 舌だにも歯のこはきをば知るものを 人は心のなからましやは (人の心は恐ろしいので取り扱い注意) |
ゑ | 酔える世をさましもやらでさかずきに 無明の酒をかさぬるは憂し (迷いに迷いを重ね生きていくのは情けないな) | |
ひ | ひとり身あわれと思へ物ごとに 民にはゆるすこころあるべし (人に優しく。特に老人、孤児、寡婦は一層いたわるべき) | |
も | もろもろの国や所の政道は 人に先ずよく教へ習わせ (ローカルルールはちゃんと教えたうえで施行すべき) | |
せ | 善に移り過れるをば改めよ 義不義は生れつかぬものなり (心のありようで行動は義にも不義にもなる。悪いと気づいたらすぐに謝るのがベスト | |
す | 少しきを足れりとも知れ満ちぬれば 月もほどなき十六夜のそら (100%じゃなくてもいいじゃない。少し欠けた月も悪くないよ) |
まとめ
本投稿ではいろは歌といろはかるたの魅力について述べた。また、かるた一覧も掲載したが「し」の札に関してはかるたを購入して自分の目で確かめてくれ!! 強力なカードであることは間違いないはずだ!!